宮崎駿監督は台湾九分を千と千尋の神隠しの舞台じゃないと否定しましたが、もうそのまんまです。
九分はとにかく幻想的ですから、実際に訪れてみるとそんな理屈など、もうどうでもよくなります。
台北駅から忠孝復興駅で降りて、九分行きのバスに乗る予定です。
忠孝復興駅を出ると、タンクトップに半ズボンのおじさんの集団が片言の日本語で何やら叫んでいます。
見るからに観光客の僕たちを見つけると、おじさん達が一目散に走ってきました。
『3ニンデ1000ゲン!ノルノル!アイノリ!ハヤク!ハヤクキメテ!』
どうやら九分に連れていくからタクシーに乗れと言っているようでした。
想像以上にものすごくしつこくまとわりついてくるので、もし九分に行く際はそれも楽しんでみて下さい (笑)。
タクシーの怒涛の勧誘からサラリと身をかわし、バスのなるべく後ろの席を陣取ります。
窓は相変わらず水アカで外が見えづらいです。
1時間ほど走ると台北の熱気や活気の街並みとはうって変わって、雰囲気がガラッと変わります。
まるで昔のジャッキーチェーンの世界です。
マックの看板が古い時代の台湾の世界観を恐ろしくぶち壊しますが、それもまたいいんです。
ビンロウ屋さんですね。
ビンロウは噛みタバコのような感覚で東南アジアを中心に売られているようです。
少し前は露出した若いギャルが色気に任せて店前で売っていたそうですが、今は普通に50代くらいのおばちゃんが売ってました。
さすがに露出してなかったのでひと安心です。
ちなみにビンロウの画像はさっきのタクシーのおじさんが、無理やり僕のポケットにねじ込んできた物です。
ひたすらにバスに揺られます。
基本的に台湾のバスはショックがへたっているのか、かなり揺れます。
九分に到着です。
ここから入っていくようですね。
ゆっくりと歩きながら、千と千尋の神隠しの舞台。
あの場所へ向かいます。
湿気と熱気でめちゃくちゃに暑いので、アイスとピーナッツを粉砕したきな粉のようなものをクレープ状のような物で巻いたやつを頬張ります。
臭豆腐というやつですね。
どんな嗅ぎ方をしてもちょっと受け付けません。
時間は19時を回っていました。
少しづつ提灯に灯りがともり始めます。
屋台街でもそうですが、犬は放し飼いにされている事が多いです。
後ろの親子をみると自分たちと重ねてしまいます。
家族への愛情は万国共通ですね。
フラリと立ち寄った縁起物の店で、ひと目で惚れたわりと大きな招き猫を買います。
もちろん帰国するまで開けません。
玉手箱の要領ですね、九分の運気を自宅に持ち帰る魂胆です。
徐々に暗くなりはじめます。
陽が落ちると風情がありますね。
子供の名前を書いてもらいます。
文字には鳥や蟹など他にもたくさんの生き物がイメージされているようです。
妻は英語と日本語と中国語が話せるので、何やらおばちゃんと雑談してます。
あたりはすっかり暗くなってました。
トサカまで付いてますね。
初めはグロいと感じましたが、何日か滞在すると慣れます。
服屋街で買ったTシャツで親子ペアルックです。
強制的に僕も着せられます。
ちなみにメインの階段を僕はベビーカーにお土産をしこたま乗せてそれを担ぎながら撮影しています。
いつの時代も男は辛いよ、です。
幻想的ですね。
この風景を見に来たんです。
お茶が飲めてしばらく休憩出来るようなので入ってみます。
九分を訪れたのが6月なので、あえて観光シーズンを外したのですが人が多いです。
満席で入れませんでした。
すると店先の暗がりの先に脇道を発見しました。
迷わず探検します。
しばらく歩くと九分を裏から一望できる場所に出ました。
貸し切り状態です。
千尋が電車に乗って旅立つ時の世界観そっくりです。
バスに乗る前にしばらく余韻に浸ります。
帰りの道中です。
九分には普通に民家もあります。
九分は期待を裏切らない場所でした。
また来たいと思います。
PS.
帰り際、台北行きのバスが何台も通るのですが一向にバス停に止まってくれず、素通りばかりでした。
しかもここは人里離れたような山の中です。
『このままじゃ帰れない…。』
近くに泊まれるような場所もなく、しばらく立ち尽くします。
するとかすかに日本語が聞こえてきました。
どうやらバス停には僕たちと同じように帰る手段を失った若いバックパッカーの男性や、女性観光客が数人いたようでした。
迷わず声をかけました。
獲物を狙うかのように法外な料金を要求してくるタクシーのおじさんをみんなで説得し、降り場や料金などを交渉します。
この一期一会の出逢いやトラブルもまた旅の醍醐味ですね。
大げさかもしれませんが、ピンチに陥った時こそ日本人の団結力はすごいと再確認できたような、そんな気がしました。
PPS.
今だけ13790円相当の電子書籍無料プレゼント中。
※いつまで無料で提供できるかわからないので、興味があればお早めにどうぞ。