学歴もない、コネも人脈も何もない人間を雇ってくれる企業などあるはずがなく、迎え入れてくれるさきはアンダーグラウンドな世界だけ。

 

 

ホストクラブです。

 

 

歌舞伎町,ホスト,独立

 

 

新宿歌舞伎町。

 

 

そこにはマンガやアングラ雑誌でしか見たことのない世界が目の前に広がっていました。

 

 

吐しゃ物まみれのスーツのまま道端で気を失うサラリーマン。
風俗の呼び込み。
チャラホストに殴りかかる酔っ払いのケバイ女。
明らかになにかの売人らしき中東風の男。
なにやら大物を出向かえるかのように整列するイカツいスーツ姿の集団。

 

 

時計はまだ13時。

 

 

新宿歌舞伎町は欲望や夢、そして挫折にあふれていて19才の世間知らずの青年には刺激が強すぎたのか。

 

 

ひどく痛む偏頭痛をおさえるためコンビニへ逃げ込み栄養剤コーナーへ向かいました。

 

 

結局、頭痛薬など手にはいらず、ひとまず街を散策することにしました。

 

 

 

 

欲望と狂気の新宿歌舞伎町をしばらく散策していると、ザ・ホストといわんばかりの派手でチャラくていかにもうさん臭い男に声をかけられました。

 

 

彼の巧みな話術に誘導されるまま、ただ流されるままにホストクラブへ体験入店が決まってしまいました。

 

 

当時はホストブーム全盛期。

 

 

テレビや雑誌でもホストクラブが毎日のように取りあげられていました。

 

 

気付けば6畳一間にホスト6人が寝泊まりする寮と呼ぶにはあまりにも悲惨なすし詰めのタコ部屋に住み込み、ホストクラブで働く日々が始まりました。

 

 

ところでこのホストという特殊で華やかな世界に毎日浸かっていると、金銭感覚や常識とはかけはなれた人間関係に今までの常識が一切通じないことに気付かされます。

 

 

でもどうやら水商売に向いていたのか、新人のわりにそれなりにお客さんを掴むことが出来たのには自分が1番驚きました。

 

 

やがてナンバー上位に毎月ランクインするようになりました。

 

 

見たこともない高級な酒を浴びるように流しこみ売上げをつくる毎日。

 

 

競争意識をくすぐる大爆音。
祭りの掛け合いのような男たちの威勢。
鳴りやまないシャンパンコール。
ブルーやレッドのカラフルでド派手なストロボ。
ドンペリや高級ブランデーを開けまくる顧客。
バブル時代というやつをリアルに体験しているかのような感覚。

 

 

一時期は『天職に出逢えた!』と考えましたが、長く続けられる仕事ではないこともわかっていました。

 

 

 

 

時間の問題だ。お金を貯めて独立しよう

 

 

結局この特殊な世界には5年間身を置き、ようやく一般的と呼ばれる世界へと戻ることが許されました。

 

 

ここでいう一般的と呼ばれる世界とは、衣食住がととのったまともな生活という意味です。

 

 

ホストクラブで貯めたお金で九州へ向かい飲食店を開業。

 

 

26才で初めての独立です。

 

 

が…もともと団体行動が得意でない僕は、従業員教育に苦戦を強いられることになるのです。

 

6章…自分の店を持つへつづく

 

 

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